クラフトのユニバーサルデザイン。公共トイレ、公園・景観施設の設計。

HOME > 納入実績 > 対談・掲載記事 > 東北文化友の会会報まんだらvol.29『やまがたレトロ館を取り巻く活動』2/3
対談・掲載記事

その後私達は、県外から建造物保存に関わっておられる方を招いて話を伺ったり、県内のあちこちを訪ねて古い建物を探し出し、リストアップする活動を続けていた。しかしそれだけでは消えゆく建物を守ることはできない。また、「そうした建物を保存する必要があるのか」という意見もあった。会の活動はまとまりを欠き、悩みは深まるばかりだった。
そのようなことを繰り返す中で、やっと一つのことがまとまった。山形市内に残る古い建物を市民に知らせることだ。まず、身近にあることを知ってもらおう。そして、その良さに気づいて貰うこと。そのためには簡単な地図を描き、建物を絵として挿入する。絵は一人一人が分担して描く。わかりやすいイラストマップであるが、その建物を印象づける正面図としてイラストを描くことになった。そこからの活動は目標が定まったためか、一気に突き進んだ。イラストは結果的に、手がきの図面を長年描き続けてきた私の父がまとめて描くことになり、絵地図の裏には私達の思いを込めた文章を合作で掲載。初版印刷のための資金集めを行った。また掲載する建物の所有者を訪ね、事情を話して掲載を了解して戴いた。この作業は楽しくもあったが、建物を維持するそれぞれの立場、思いを知ることになり、多くのことを考えさせられた。
こうして平成13年の9月、絵地図は完成した。お世話になった方々に配布し、マスコミにも取り上げられたので問い合わせが続き、文翔館に置かせて戴くことが決まった。以降、版を重ね、絵地図を置いて下さるところも増えて現在に至っている。絵地図は観光に訪れた方々を通じて全国に広がり、私達と同じような活動をしている方たちが各地にいらっしゃることを知った。「札幌建築鑑賞会」「旭川の歴史的建物の保存を考える会」「いわき歴史建築活用委員会」等の方からアクセスがあって山形にいらして戴き、街並みを案内したり、意見を交換する活動が続いた。それぞれ独自の活動をしていらっしゃり、お互いに学ぶことがあった。
絵を描いた父は本格的にペン画に取り組み、細かいディティールまで詳細に描くことを続けた。そして私達は、絵を多くの方に見て戴くべく県内各地で原画展を繰り返し開催した。絵は写真と違い、フリーハンドの線は優しさと暖かさにあふれている。文翔館での開催を皮切りに地元に密着した銀行や郵便局のロビー、公民館、旧郡役所、温泉旅館などで小規模の原画展は行われた。それを受けて研究会では月に一回地域めぐりを続け、写真に記録したり、所有者に建物に関する話を伺ったりする活動を継続している。記録した写真は父の元へ届け、すぐに絵として描かれた。振り返ってみると、絵を描くことで活動に道筋が付き、楽しく活動を続けることができたような気がする。こうして平成16年、研究会は「山形歴史たてもの研究会」と改称し、新しい会員を迎えて、地域めぐりと記録を主体とした活動を行っている。